2011年10月28日金曜日

うちくる?3-苦しゅうない

子犬め、最近はこのわけわからん者どもがうろうろしておる古い城へいくのを毎日のお供の代わりにしておる。けしからん。
この古い城にはのお、すぐそばによそのかしましい田舎の姫がおるのじゃ、胴体ばかりがながくて頭は巨大じゃ。わらわの足音が聞こえなくなるまでずっと大騒ぎじゃ。難儀じゃのお。
もうすぐここに住まうことになると仔犬がいっておるがの、どうも都落ちのようじゃ。
切ないのお。
今日はここだけの話じゃが昼のさなかに憎からず想うとる肉食殿も現れてわらわは思わずはしゃいでしまったのじゃ。忙しく働いている家来達ものきなみわらわにかしづきそれは楽しい朝じゃった。
それにしても汚れとるのお。
厨の石を刻む音のうるさいことよ。ここでたち働く家来がの「この犬いくらで買ったの?」なんて聞いていたがのお、仔犬の値踏みかのお。よもやわらわのことではあるまいなあ。わらわは犬ではないぞ。姫じゃ。
それにしても肉食殿はわらわのこと今日は一度もみなかったぞ。
切ないのお。
なにかにご立腹されているご様子じゃ。
また明日もここへ来るのかのお。
いつからこの城に入ることになるのかのお。

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